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日々思ったこと、皆様のお役にたてる情報などを書いていきたいと思います。


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勤務先からの天引きと破産

当法人の岐阜事務所では,債務整理の案件も取り扱っています。

今回は,債務整理のうち破産に関してお話しします。

破産事件の場合,勤務先から借り入れがある場合,返済として,毎月の給与から天引きされているのを目にします。

天引きの是非はさておき,このような勤務先からの借り入れも,破産債権に該当します。

したがって,破産手続を進める場合には,勤務先を,破産債権者として扱い,債権者一覧表に記載しなければなりません。

最終的に免責許可決定が出れば,勤務先に対する債務の支払義務を免れるわけですから,勤務先を破産債権者とした場合,勤務先との関係が大きく損なわれる可能性があります。

そのため,相談者の方から,今後もその勤務先で働くため,破産債権者とせずに返済を継続できないか,という質問を受けることもありますが,支払不能後に当該勤務先に返済することは,偏波弁済にあたるため,認められていません。

このような事態を回避する方法としては,債務者の財産からではなく,第三者(親・兄弟など)に全額返済してもらうことが考えられます。

また,仮に,勤務先を破産債権者として扱うことになった場合でも,事前に,免責許可決定後に,自然債務として返済する内容で勤務先から了解を得られれば(実際にはなかなか難しいと思われますが),関係悪化を最小限に抑えることができるのかもしれません。

上記以外にも,破産手続では,債務者の方がしてはならないこと,注意しないといけないことなどが多々あります。

破産をお考えの場合には,一度,弁護士にご相談されることをお勧めします。

加重

先月と比べ,大分気温が上がりましたね。岐阜も暑い日が続いています。

車を運転される際は,体調管理にお気をつけください。

ところで,事故と同じ場所を怪我した場合に,後遺障害が認定されるかというご質問をいただくことがあります。

自動車損害賠償保障法施行令2条2項には,既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによって,同一部位の後遺障害の程度を加重した場合には,その等級に対応する保険金額から,既存の後遺障害の等級に対応する保険金額を控除した金額とする旨定められています。

したがって,「同一部位」に当たらない場合には,後遺障害の認定可能性はあり,また,同一部位に該当しても,後遺障害の程度が「加重」したといえる場合にも,保険金額について既存等級に対応する保険金額は控除されるものの,後遺障害の認定可能性があります。

ここでいう「加重」は,交通事故によるあらたな傷害によって,現存する障害が等級表上重くなった場合を指すため,同一部位への影響があったとしても,昇級に及ばないものである場合には加重に該当しません。

また,「同一部位」については,同一の系列の範囲内のものを指すと考えられており,系列(身体障害態様の区分であり,労災補償の障害認定基準にて35の系列に分類)を異にすれば,基本的には加重は問題になりません。

ところで,この同一部位に関連してですが,従来,自賠責実務では,中枢神経系の既存障害がある人が,交通事故により末梢神経系の後遺障害を残した場合,「神経系統の機能又は精神の障害」という同一系列にあると扱われてきました。

しかし,東京高裁平成28年1月20日判決は,脊髄損傷により中枢神経系の既存障害がある方が,交通事故により頚部痛や手のしびれといった末梢神経系の後遺障害が残った事案について,「同一部位」とは損害として一体的に評価されるべき身体の類型的な部位をいうとして,「同一部位」には当たらないとしました。従来の自賠責実務と異なる判断であり,注目されています。

このように,交通事故でお怪我をされた場合に後遺障害の認定がされるか否かは,既存障害の有無・内容とも関連し,難しい問題を含みますので,交通事故でお怪我された場合には,まずは交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

自転車事故における過失割合

もうすぐ元号が令和になります。

岐阜県郡上市では,4月30日から5月1日にかけて改元を祝う郡上踊りが行われるそうです。

GWで混雑するので,交通事故には気を付けないといけないですね。

当然ですが,交通事故には,自動車対自動車だけでなく,自動車対自転車のものもありますね。

自動車対自転車の交通事故の場合,その過失割合は,自動車対自動車の場合と比較して,自転車側に有利に考えます。

これは,自動車が自転車と比較して高速で走行することや,免許制で交通法規の習得が前提となること等から,自動車側に重い注意義務が課されているからです。

過失割合の判断は事故態様に基づいて行うのですが,実務では,「別冊判例タイムズ38」という書籍を参照することが多いです。

この書籍は,過去の裁判例の蓄積により作成されたものであるため,おおよその目安とすることができます。

この書籍以外に,「損害賠償額算定基準」(「赤本」と呼称します)という書籍を用いて過失割合を主張することもあります。

自転車側が酒酔い運転である場合,別冊判例タイムズ38の場合には「重過失」となるのですが,赤本では「著しい過失」にとどまるなど,内容によっては,赤本の方が,自転車側に有利になる箇所があります。

このように,別冊判例タイムズ38と赤本には,異なる箇所があるため,事案に応じて,何に基づいて主張するのか,よく考えなければなりません。

点数制度による処分における意見聴取

岐阜駅前の桜も咲き始めました。

今年は,例年よりも少し早いみたいですね。

この時期,新たに自動車免許を取得される方もおられるかと思います。

今回は,自動車免許に関してお話したいと思います。

 

点数制度により90日以上の免許停止や免許の取り消しとなった場合,公開による意見の聴取が行われます。

この意見聴取手続を経ないと,公安委員会はこれらの処分を行うことはできません。

運転手に弁明の機会が保障されるべく,公安委員会は,その運転手に対して意見の聴取通知書を送付し,意見聴取期日の1週間前までに,意見の聴取期日・場所や処分事由などを通知することとされています。

意見聴取では,意見を述べたり,有利な証拠を提出することができます。

弁護士に依頼して弁護活動してもらうことも可能です。

この場合,弁護士は「補佐人」に就任することになるのですが,あらかじめ補佐人出頭許可申請書を提出し,公安委員会の許可を得る必要があります。

弁護士に相談する際,過去の処分歴(いつ,どのような内容)や累積点数などを正確に把握していないと,適切なアドバイスや活動ができません。

具体的な処分歴等を把握されていない場合,運転記録証明書を安全運転センターから取り付ければ,過去の処分歴や累積点数などを把握することができます。

運転記録証明書の取付には2週間程度要することもあり,そのままでは意見の聴取期日に間に合わないこともあります。

そのような場合,期日の延期申請が必要となるなど,スケジュール管理には注意を要します。

最終的には,意見書その他資料を意見聴取期日の数日前までには提出して,処分前にはその内容に目を通してもらうようにします。

交通事故では,点数の問題だけでなく,民事(賠償)の問題が生じることもあります。

どのような手続で進み,どのような点に注意すべきなのかなど知っておかないと,取り返しのつかないこともありますので,交通事故に遭われた際には,お早目に,弁護士にご相談されることをお勧めします。

評価損

岐阜にも花粉の時期が来ました。

集中力が削がれるので,早く過ぎ去ってほしいです。

 

車両を修理すると,車両価値が事故前の価値を下回ることがあります。

これを「格落損」や「評価損」と言います。

価値が下がる要因は,修理後の車両性能等の低下や,事故車両は縁起が悪いとして避けられるなど様々です。

この評価損を加害者に請求した場合に認められるか否かについて,お話したいと思います。

実務では,一定の場合に認める傾向にあるといえます。

具体的には,個別の事案ごとに,①事故車両の車種,②初度登録からの年数,③走行距離及び④損傷の程度などを総合的に考慮して認定されます。

この点,裁判官が執筆した文献によると,上記①から③について,外国産又は国産人気車種であれば,初度登録から5年・走行距離6万キロメートル程度,国産車では3年・走行距離4万キロメートル程度を超えると,評価損が認められにくいとあります(赤本講演録平成14年版)。

また,④については,車両の骨格部分に損傷がある場合に限定する見解と限定しない見解がありますが,実際のところでは,損傷が相当程度大きいことを求められているように思われます。

これらの考慮要素を踏まえ,評価損が肯定されたとしても,次にどの範囲(金額)で認定されるかという問題があります。

事故前の車両時価と修理後の価値との差額とした裁判例もありますが,多くの裁判例は,修理費の10パーセントから30パーセントの範囲で認めているように思われます。

損保会社は,話し合いの段階で,評価損を認めることはほとんどありません。

そのため,評価損を求めるには訴訟で強く求めていくことも考えなければなりません。

評価損でお困りの際には,お早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

増額した保険料と損害

明けましておめでとうございます。

今年も岐阜で頑張りますので,どうぞ宜しくお願いいたします。

 

交通事故で過失割合等が争点となると,通常,解決までに長期間を要します。

生活や仕事で自動車を用いている場合,事件解決までの間,事故車両をそのままにすることはできません。

修理や買い替えを検討しなければなりません。

全損であった場合,被害者本人がとりあえず全額自費で車を買い替えて,後に,加害者に請求するという方法もありますが,

金銭面から現実的には難しいケースが多いのではないかと思います。

他方で,車両保険を利用して,自身が加入する損保会社から,車両保険金を受領して,それを買替のための費用に充てる方法もあります。

仮に,この方法を選択した場合,車両保険の利用により,その後の保険料が増額することが考えられますが,その増額分の保険料を加害者に請求した場合,認められるのでしょうか。

交通事故がなければ車両保険を利用することもなく,その利用により保険料が増額したから,当該事故と相当因果関係のある損害であるという見解も考えられますが,東京地裁平成13年12月26日判決は異なる見解を採用しています。

この裁判例は,簡単にいうと,追突されて全損となったため車両保険を利用したところ,その利用により4年にわたり計約32万円の保険料が増額することになるとして,その他の損害とともに加害者に支払いを求めた事案です。

この点,東京地裁は,「原告が自身の加入する車両保険金を受領して早期の被害回復を図るか,被告から適正な損害賠償金を得て被害回復を図るか,は,原告自身の選択の問題であって,前者を選択した結果,保険料が増額したとしても,これをもって,本件事故による損害と認めることはできない。」と判示しました。

車両保険を利用するか否かという状況は珍しいものではないので,このような裁判例があることを知っておくのは有益だと思います。

仕事納め

本日で,仕事納めとなります。

今年も様々なことがありました。

まずは,仕事面として,12月1日をもって弁護士法人心が創業10年となりました。

社員数も150人に達しました。

先日からは,テレビCMも行うようになりました。

東海3県で,報道ステーション(毎週水曜日)のほか,いろいろな番組で流されているので,ぜひご覧いただければと思います。

弁護士のCMや広告を目にする機会が増えたことで,以前よりも,弁護士を身近に感じていただけるようになったかと思います。

しかし,ご相談の際に,「こういう場合でも弁護士を利用することができるんですね」という言葉をたまに耳にするように,どのようなときに弁護士に相談・依頼すればよいのかがイメージが湧きにくいという問題は未だ残っているように思われます。

来年は,弁護士業界全体として,この点が改善されるようになればいいですね。

次に,プライベート面の出来事としては,家族ができたことです。

従前の一人身の生活ではなく,家族として適切な生活を目指していかなければなりません。

健康でなければ仕事も家庭も疎かになるため,まずは,健康維持を第一に心掛けたいと思います。

来年は1月4日から業務を開始しますので,どうぞ宜しくお願いいたします。

車両損害における慰謝料

岐阜県下の交通事故件数は昨年度よりも減少している一方,交通事故によりお亡くなりになった方は増加しているようです。

残り1か月ほどですが,車を運転される際には十分注意しなければいけませんね。

ところで,交通事故では,自動車やバイクなどの物件損害のみが問題になることがあります。

事故車両を長年利用しており,愛着が強く,車両損害について慰謝料の支払いを求めたいというご相談をいただくことがありますが,物件損害の慰謝料について,実務ではどのように考えられているのでしょうか。

この点,裁判例は,原則として物件損害の慰謝料は認めない傾向にあります。

これは,修理費用等の財産的損害が補填されれば,同時に財産権侵害に伴う慰謝料も回復されるからと考えられています。

この理由からすると,財産的損害が補填されても,それだけでは,財産権侵害に伴う慰謝料が回復されたとはいえない場合には,例外として慰謝料を認めてよいように思われます。

この点について,東京地裁平成元年3月24日判決が,次のとおり言及しており,参考になります。

「通常は,被害者が財産的損害の填補を受けることによって,財産的侵害に伴う精神的損害も同時に填補されるものといえるのであって,財産的権利を侵害された場合に慰藉料を請求しうるには,目的物が被害者にとって特別の愛情をいだかせるようなものである場合や,加害行為が害意を伴うなど相手方に精神的打撃を与えるような仕方でなされた場合など,被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情が存することが必要であるというべきである。」

上記判示からすると,被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情が存する場合には,財産的損害が填補されても,財産権侵害に伴う慰謝料は回復されたとはいえないと考えているように読みとれます。

なお,この事例ではメルセデスベンツという高級車の車両損害に関する慰謝料が問題となったのですが,裁判所は上記「特段の事情」は認められないとして,これを否定しました。

交通事故に遭遇すると,何が請求できるのか,請求できるとして獲得できる見込みはどれくらいか,など様々な疑問が生じます。

疑問が生じるのは当然のことであり,また,疑問はそのままにしておくべきではありません。

お困りの場合には,ただちに弁護士にご相談されることをお勧めします。

過失割合

1 別冊判例タイムズ38

  交通事故において過失が争点となる場合,まずは別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(以下「判タ」といいます。)」が参考とされることが多いです。

  この判タは,交通事故を集中的に取り扱う東京地裁民事27部の裁判官らが作成・公表したものです。

  改訂を重ねており,最新のものは全訂5版となります。

  裁判所による過失の認定・判断基準を示すことで,大量の交通事故案件の公平・迅速な処理を図られています。

2 事故類型

  判タの目次を見ると,①歩行者と四輪車・単車との事故,②歩行者と自転車との事故,③四輪車同士の事故,④単車と四輪車との事故,⑤自転車と四輪車・単車との事故,⑥高速道路上の事故,⑦駐車場内の事故,と事故類型ごとに分けられています。

  その上で,①の場合であれば,「横断歩行者の事故」,「対向又は同一方向進行歩行者の事故」,「路上横臥者等の事故」「後退車による事故」などさらに細かく類型化されています。

  したがって,実際の事案では,その案件がどの類型に該当するか,またはどの類型に類似するかをよく確認する必要があります。

3 基本割合と修正要素

  該当ページには,その事故類型における当事者の注意義務の内容・程度等から考えられる基本的な割合が記載されています。

  その上で,個別の修正要素,例えば,「夜間」「幹線道路」「著しい過失」などの事情が挙げられ,それらに該当する場合には,基本割合から加算・減算の修正を行います。

  安易に事故類型の図だけから判断することなく,その類型で,なぜそのような基本割合が設定されているかという背景の考えを理解する必要があります。必ずしも判タの事故類型の図そのままの事案ばかりではありません。そのようなときに,背景にある「考え方」を理解すると,その事案で妥当と考える基本割合も見えてきたりします。背景となる考え方は,章の柱書などに記載されています。

  また,修正要素を適用する場合には,当該要素の意味と当てはめをしっかり行う必要があります。

4 柔軟に

  判タは有用ではありますが,事案ごとに事故態様は異なる以上,あくまで目安であるという認識を持つことは重要といえます。

  判タにも同様の趣旨の記載があります(「事案により,その数値を増減して適用する柔軟な態度が望まれる」(判タ全訂5版・43頁)。

  なお,実際の事案では,判タ以外に,道路交通法に関する文献や類似事案の裁判例を調査するなど網羅的に過失の検討を行います。

5 最後に

  過失割合でお悩みの場合には,弁護士にご相談されてみるとよいと思います。

遷延性意識障害と脳死

交通事故による外傷で脳を損傷し,遷延性意識障害すなわち植物状態になることがあります。

この遷延性意識障害は,脳死とは区別されています。

そもそも,人間の脳は,知覚,記憶等を司る大脳,運動等を司る小脳,呼吸・循環機能を司る脳幹の3つから成ります。

このうち,知覚,記憶等を司る大脳の機能の全部又は一部が喪失する一方,呼吸・循環機能という生命維持に不可欠な脳幹の機能は残っている場合があり,この状態を植物状態といいます。脳幹の機能が残っているので,自発呼吸ができますし,また,ケースにもよりますが,植物状態から高次脳機能障害等の状態まで改善・回復することもあります。

これに対して,脳死は,先ほど挙げた3つの機能を全て喪失した状態です。したがって,自発呼吸はできませんし,心臓が動いていても,しばらくすれば停止します。また,植物状態と異なり,改善・回復の可能性はありません。

このように,遷延性意識障害と脳死とは,脳の損傷の部位及びそれによる機能喪失の内容等の点で異なります。

遷延性意識障害,脳死のいずれも,ご本人・ご家族にはとても辛いことであり,その精神的苦痛の程度は計りしれません。

また,遷延性意識障害は,寝たきり状態であるため,医療費や看護費等で多額の経済的負担が生じることが考えられます。

したがって,加害者側により適切な賠償額が支払われる必要がありますが,残念ながら,弁護士が介入しない場合,損保会社からは,適切とはいいがたい金額の提案がなされることも少なくありません。

適切な賠償がなされるためにも,示談書にサインする前には,是非,弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

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