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生活保護受給者における休業損害

生活保護を受給している場合、就労している場合と就労していない場合があります。

就労している場合、交通事故の受傷で休業し、かつ、それによる減収がある場合には、減収分を休業損害として評価できます。

他方、就労していない場合には、収入がなく、休業による損害が発生しないとされることが多いと思います。

もっとも、就職が内定しているなど就労の予定が具体化している事情がある場合には、その予定日から実際に就労可能になるまでの休業損害が認められる可能性があります。

また、治療期間が長期にわたる場合には、事故がなければその期間の途中で就労していた可能性があります。

そこで、休業期間が長い場合には、失職した経緯、年齢、身に着けた技能・資格などを考慮して適当な休業期間を認定する場合があります。

専業主婦や兼業主婦など、同居の家族のために家事労働に従事している場合には、家事従事者としての主張が認められることがあります。

裁判例でも、生活保護を受給していた主婦について、無職であるから現実の収入減が生じたとはいえないものの、主婦として家事労働に従事していたとして、休業損害を認めた事例があります。

このように、生活保護受給者であるから休業損害が一律に認められないわけでなく、個別の事情によって認められることもあるので、十分にご注意ください。

同様のことは、後遺障害逸失利益でも問題となります。

休業損害、後遺障害逸失利益ともに金額が大きくなる可能性のある費目であるため、適切な賠償額を得るためには、一度、弁護士にご相談されるとよいと思います。

岐阜ではここ数日とても暑い日が続いています。

皆さんも体調にお気をつけください。

初診時の診断書

今回は、交通事故における初診時の診断書についてお話しします。

医師は、通常、初診の結果を踏まえ、「頸椎捻挫 加療14日」などと書かれた診断書を作成します。

このような記載があったとしても、必ずしも14日以内で完治するとは限りません。

あくまで初診時の見通しであり、数か月、年単位で症状が続く場合もありますので、症状がある場合には、軽く考えずにしっかりと通院しましょう。

この診断書を警察に提出すると、物件事故扱いから人身事故扱いに切り替わります。

反対に、診断書を提出しないと、通常、物件事故扱いのままとなります。

人身事故扱いとなることで、刑事処分・行政処分の話が生じるので、診断書の提出を忘れないようご注意ください。

ただし、事案によっては、人身事故への切り替えを慎重に検討すべき場合もあるので、お困りの場合は弁護士にご相談ください。

また、診断書の内容は、人身事故扱いとなった後の行政処分にも影響を及ぼします。

点数制度では、一般違法行為の基礎点数に、付加点数を加えて考えます。

付加点数では責任の度合いも考慮します。

具体的には、死亡事故か、死亡事故でないとして、被害者の怪我の程度は、加療3か月以上、加療3か月未満、加療30日未満、加療15日未満のいずれに該当するかというものであり、該当する区分により点数は異なってきます。

この該当性判断に、初診時の診断書が参考資料とされることがあります。

前歴がない場合でも、被害者の怪我の程度が加療15日以上となると、免停となる可能性が高くなってきます。

 

ところで、5月12日から緊急事態宣言の対象に愛知県も加えられることになりました。

隣接する岐阜県でも感染拡大防止に引き続き注意していく必要があります。

当事務所では、来所対応として、消毒、換気などコロナ対策をしっかり取り組んでおります。

また、お電話での相談も対応しておりますので、交通事故その他の法律問題でお悩みごとがありましたら、お気軽にお問合せください。

 

高齢者の家事労働

岐阜でも変異株クラスターが発生しました。

万が一感染した場合の周囲への影響をよく想定し、まだまだ気を抜かずに生活していく必要がありますね。

ところで、最近、休業損害における、高齢者の家事労働について考える機会がありました。

休業損害とは、事故により休業した場合に、本来得られたはずの収入が得られなくなったことを問題とするものです。

家政婦のように、他人に家事労働を行ってもらった場合には金銭的支払いが必要となるから、家事労働は金銭的対価性のあるものといえます。

よって、事故の影響で家事労働ができなくなったりすれば、休業損害を請求することができると考えられています。

1日当たりの収入(収入日額)に休業日数を掛けることで算出するところ、収入日額の算出では、通常、賃金センサスの女性・全年齢・学歴計の平均賃金を参考にすることが多いです。

ただし、高齢者の場合にはこれよりも金額的に低い基準、例えば、年齢別平均賃金などが採用される事案も少なくありません。

確かに、被害者が高齢者の方である場合、次の点からすれば、家事労働の負担は一般世帯よりも小さいとも考えられます。

①子供が独立しており、配偶者との二人生活

②配偶者も退職しており、配偶者もある程度自分の家事をしたり、家事分担をしている

しかし、配偶者との二人生活であっても、家事労働に加えて配偶者の介護も行う必要があったり、また、配偶者が高齢者であっても、就労継続するケースも増加しているのではないでしょうか。

このような場合には、一般世帯と比較して、家事労働の負担が小さいとは必ずしもいえません。

収入日額を考えるにあたっては、被害者の年齢、世帯人数だけでなく、具体的な家事労働の内容及び家事の分担状況なども踏まえ、考えていく必要があるのではないかと思います。

令和3年度版の赤本

2月も終わりですね。岐阜は暖かい日が少しずつ増えてきています。

ただ、それに伴い、花粉が飛びはじめており、重度の花粉症である私としてはつらいです。

この間、令和3年度版の赤本が届きました。

赤本とは、交通事故では必須の書籍であり、日弁連交通事故相談センター東京支部が編集・発行しています。

赤本は赤い色の本であることからの通称であり、「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」が正式な名称です。

赤本には上下巻があり、下巻には東京地方裁判所民事27部の裁判官の方々の講演録が綴られています。

令和3年度の赤本下巻でまず目に入ったのは、訴状、答弁書、準備書面等における一覧表の活用についての講演録です。

訴訟の初期段階から、争点が何か、争点の軽重、立証の程度がどの程度されているかなどについての共通認識を、三者間で形成させることが有益であるという観点から一覧表を活用していこうというもののようです。

おそらく東京のみならず地方でも採用されていくことになるかと思います。

下巻にモデルの書式も掲載されていますが、東京地裁のHPでも見れるようになっています。

また、下巻には、損害賠償額の算定について、4つの講演録が掲載されており、いずれも重要性の高いものでしたので、しっかり見ておこうと思います。

傷害慰謝料の修正通院期間

岐阜では寒い日が続いていますが、皆さん、お身体にお気をつけください。

本日は、交通事故ではよく問題となる、傷害慰謝料の修正通院期間についてお話します。

交通事故で怪我をして通院した場合、傷害慰謝料を請求することができます。

傷害慰謝料の計算はいくつかあるのですが、いわゆる赤本や青本を用いる考え方があります。

そこでは、原則として通院期間に基づいて慰謝料計算し、症状、治療内容、通院頻度を踏まえ、通院した日が少ない場合には、慰謝料計算の基礎となる通院期間を修正することもあるとされています。

この点、保険会社は、「症状、治療内容、通院頻度」などを考慮した様子もなく、通院日が少ないことのみを理由に修正通院期間の適用を主張してくることがあります。

しかし、先ほど述べたとおり、通院期間に基づいて計算するのが原則であり、修正通院期間はあくまで例外的なものです。

具体的な事情を考慮せずに、安易に適用すべきではありません。

特に、骨折事案などでは、骨癒合の経過をみるため、どうしても通院頻度は少なくなりがちです。

そのような場合に修正通院期間を適用すると、事案によっては、他覚的所見のないむちうちの場合よりも慰謝料額が少なくなるなど、適切とは言い難い結論になることもあります。

この点、裁判その他の紛争解決手続では個別具体的な事情を踏まえ、総合的に判断されているように思われます。

仮に、任意交渉において、修正通院期間の適用が不相当と考えられるにもかかわらず、保険会社がその主張を変えないときには、事案にもよりますが、さっさと交渉を切り上げて、裁判その他の紛争解決手続きで、第三者の判断を仰いた方がよいケースが多いように思います。

脊柱変形における労働能力喪失率

交通事故で腰椎等の圧迫骨折があった場合、脊柱変形として後遺障害等級に認定されるケースがあります。

著しい変形であれば6級5号、中程度の変形であれば8級相当、変形にとどまれば11級7号となります。

自賠責保険では、11級の場合の労働能力喪失率を20%と定めています。

しかし、脊柱変形の場合には、労働能力への影響は小さいとして、喪失率や喪失期間が争われることが少なくありません。

喪失率につき0%、5%などと主張されることもあります。

そもそも、脊柱変形は、脊柱の支持性・運動性を減少させ、疼痛や易疲労性を生じさせるものと言われています。

裁判例では、20%で認定したものも複数ありますので、個別の事案ごとに、症状固定後の残存症状(疼痛や易疲労性など)や、業務への支障の程度などを具体的に主張立証していく必要があります。

示談書にサインする前には、しっかりと提示額の妥当性を確認すべきです。

適正な賠償額を獲得するためにも、保険会社から賠償額の提示が出た場合には、少なくとも弁護士にご相談されることをお勧めします。

ところで、本日で、仕事納めとなります。

今年もたくさんのお問い合わせをいただき、ありがとうございました。

来年もどうぞ宜しくお願いいたします。

良いお年をお迎えください<m(__)m>

交通事故と少額訴訟

岐阜では,最近,マスクをしていない人や,マスクをつけていても顎まで下げている方を,ちらほら見かけます。

第3波で感染者が増えていますので,気を引き締めてマスクをしっかりとつけていきましょう。

本日は,少額訴訟についてお話します。

少額訴訟は,60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り,利用できます。

原則として,1回の期日で審理を終えて判決となります。

そのため,迅速な解決を図ることができ,また,当事者としても手間が少ない制度であるといえます。

1回の期日で審理が終了するため,当事者はその期日のときにしっかり主張立証する必要があります。

訴えられた側(被告)は,1回だけの審理では不十分と考えるのであれば,通常訴訟手続への移行を求めることができます。

例えば,交通事故で過失割合が争点となる場合には,1回の審理では通常不十分であり,被告としては通常訴訟手続への移行を求めることが想定されるので,少額訴訟にはなじまず,最初から通常訴訟その他の手続によるのが適切であるといえます。

また,少額訴訟の判決に対しては,控訴することはできません。

不服の申立ての制度は,異議の申立てに限られています。

上記のような少額訴訟の特徴をよく考えて方法選択する必要があります。

健康診断

先日,健康診断を受けてきました。

岐阜の病院ではなかったので,往復の時間を含め3時間くらいかかりました。

例年と異なり,コロナ対応がいくつかなされていました。

よく見られる光景ではありますが,手指の消毒のために会場の入り口に消毒液が設置されていましたし,また,体温を記載する用紙があり,それに記入して提出もしました。

また,会場には相当数の人数がいますので,終始,マスクを装着したまま各検査を回るように指示がありました。

基本的に話す人もいませんし,換気も十分になされているようでしたので,安心できました。

安心できなかったのは,体重の測定結果ですね。

ここ1年,食生活に気を付け,バランスを考え食事をとっていましたが,思いのほか体重が増えていました。

元々運動不足であったことに加え,コロナで外出を控えるようになったことが大きいかと思います。

筋肉が落ちると,代謝が低下し,太りやすくなると言われています。

今の身体には室内トレーニングが必要であると思われますので,筋トレやストレッチを早々に始めたいと思います。

ところで,コロナの関係になりますが,裁判所の傍聴席ではこれまで間隔を2席空け,席数を3分の1程度に減らすように取り組んでいました。

しかし,今後は,間隔は1席とし,席数を2分の1程度のように変更するようです。

傍聴席では基本的には話すことはないし,マスクをつけていれば感染リスクがある程度は抑制できるということかもしれません。

また,裁判所によっては,法廷等の扉を開放したままにすることもあり,換気にも気を付けているようです。

症状固定後の治療費

今月は4連休がありますね。

岐阜には観光名所がたくさんあるので,色々出かけたいのですが,コロナが心配なので,おとなしく仕事しておこうと思います。

今回は,症状固定後の治療費についてお話いたします。

症状固定までの治療費は原則として認められる一方,症状固定後の治療費については,原則として認められていない,といえます。

この点の理由については,「交通事故損害額算定基準」(いわゆる青本)に,次のとおり記載されています。

「症状固定状態とは,治療しても症状が改善しない状態のことであり,従って症状固定後に治療しても,いわば無駄な費用の支出になるから,加害者に負担させるのは不相当ということになる」。

このように,治療が改善せず,治療効果が認められないのであれば,治療の必要性がないといえます。

しかし,生命を維持したり,症状の悪化を防ぐなどの必要があれば,その治療費は無駄な費用の支出でなくなるため,賠償の対象に含めるべきことになります。

症状固定後の治療費として認められるものには,重度の後遺障害が認められているものが多いように思われます。

例えば,てんかん等の後遺障害(9級)の事案では,将来にわたるてんかん防止や脳の能力悪化防止のため,抗痙攣剤の服用,年1回の脳波検査,MRI検査の実施が必要として,症状固定後の治療費を認めた事例があります。

重度の後遺障害以外のものでは,将来の歯冠補綴治療費として症状固定後の治療費を認めた事例などもあります。

これは症状の悪化を防ぐというよりも,必然的に将来的に予定される費用ということができます。

これらに対し,むちうちの事案においては,症状固定後の治療費は認められない傾向にあるといえます。

症状固定後の治療費を求める場合,その必要性等をしっかり主張・立証していかなければなりませんので,ご請求をお考えの場合には,弁護士にご相談されることをお勧めします。

刑期の起算日

岐阜の多治見などは暑い地域として有名ですが,

近年では,あちこちで記録的な気温が出ており,温暖化が進んでいるように思われます。

本日は,タイトルのとおり刑期の起算日について,お話します。

例えば「懲役3年」の実刑判決であった場合に,その3年はいつから起算するのでしょうか。

判決日からか,判決の確定日からかなど色々考えられますね。

この点,刑法23条は,「刑期の計算」について次のように定めています。

1項 刑期は,裁判が確定した日から起算する。

2項 拘禁されていない日数は,裁判が確定した後であっても,刑期に参入しない。

1項にある裁判が確定した日とは,上訴期間が経過した場合や,上訴権を放棄した場合などを指します。

つまり,これ以上争うことができなくなったことが確定した時点となります。

裁判確定との関係になりますが,上訴の意図がない場合には,ただちに刑期の起算を開始させるために,上訴権を放棄して裁判を確定させることもあります。

2項にある「拘禁されていない場合」とは,確定時に保釈中である場合などです。

このような場合には,刑事施設に入ったときから刑期を起算します。

以上を踏まえると,裁判確定時に拘禁されているか否かを考え,拘禁されていない場合には刑事施設に入ったときから起算し,それ以外の場合には,裁判確定時から起算すると考えられます。

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