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自賠責保険への請求

岐阜市役所の新庁舎の建設工事が大分進んでいますね。

周囲には新庁舎に並ぶ高さの建物は見当たらないため,完成したら新庁舎からの展望は良さそうです。

今回は,自賠責保険への請求方法についてお話します。

自賠責保険への請求には,被害者請求(自動車損害賠償法16条)と,加害者請求(同法15条)があります。

まず,法16条1項には,次のとおり定められています。

「第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは,被害者は,政令で定めるところにより,保険会社に対し,保険金額の限度において,損害賠償額の支払いをなすべきことを請求することができる。」

この条項のとおり,請求の主体は「被害者」であり,自賠責保険に対して損害賠償の支払いを請求することができます。

自賠責保険の契約者は加害者であり,被害者と自賠責保険との間には契約関係はありませんが,この法16条があることにより,被害者は自賠責保険に対する直接請求権を有することになります。

次に,法15条には次のとおり定められています。

「被保険者は,被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ,保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。」

ここでいう被保険者は加害者を指すので,請求の主体は「加害者」となります。

自賠責保険は,責任保険であり,被保険者が賠償責任を負った場合に,その損害を填補する保険です。

したがって,15条の文言のとおり,被保険者である加害者が被害者に対して現実に賠償金を支払った場合に,その支払額を限度として自賠責保険に保険金の請求ができるようになります。

このように,被害者請求と加害者請求では請求主体や適用場面が異なります。

実際の業務では,治療費や後遺障害の関係で被害者請求を行うことが相当数あります。

まず,治療費の関係ですが,多くの事案では加害者の任意保険会社が治療費対応を行うため,被害者請求が問題となる場面は多くないかもしれません。

しかし,加害者が任意保険に未加入である場合や,任意保険会社に加入していても治療費対応をしない場合(例えば,過失が争点となっている場合等)では,治療費を賄うために,被害者請求を行うことがあります。

これに対して,後遺障害申請の関係では,被害者請求はよく問題になります。

被害者側で申請するか,それとも任意保険会社に申請手続をお任せするか,という選択がその都度生じるからです。

被害者請求の場合には被害者側で申請資料の収集をしなければなりません。

その分手間はかかりますが,しっかり申請の準備ができるというメリットがあります。

適正な等級認定獲得のためには,必要な検査結果を揃えたり,書類に不備のないようにするなど,事前の準備が重要であるといえます。

したがって,多少の手間がかかったとしても,通常は,被害者請求による方が望ましいといえます。

 

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