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物損の時効

最近は、WEB期日や電話期日が増え、岐阜の裁判所に出廷する頻度が以前よりも少なくなりました。

本日は、物損の時効に関してお話しします。

交通事故で車両に関する損害が生じた場合、その損害賠償請求をすることができます。

これら車両損傷を理由とする損害賠償請求権の消滅時効は、損害および加害者を知ったときから3年間です(民法724条1号)。

不法行為のときから20年行使しないときも、時効によって消滅します(同条2号)。

先日、この時効期間が問題となった事案において、令和3年11月2日に最高裁の判断が示されました。

事案は、車両損傷と身体傷害を理由とする損害について訴訟提起したところ、訴訟提起時点で、車両損傷については、損害と加害者を知った時から3年以上が経過していたというものです。

この点、原審は、「交通事故の損害の全体を知った時」から起算するのが相当としました。

その結果、身体傷害について症状固定日から3年は経過していないから、車両損傷を理由とする損害賠償請求権についても時効期間は完成していないとしました。

しかし、最高裁は、車両損傷を理由とする損害賠償請求権と、身体傷害を理由とする損害賠償請求権とは、別の請求権として、前者について消滅時効の完成を認めました。