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休車損害

暑い日が続いたと思えば、大雨が続くなど不安定な天候が続いています。

岐阜では、大雨のために一部の区間で電車が見合わせになったりしています。

早く回復してほしいですね。

本日は、休車損害についてお話したいと思います。

休車損害は、修理や買い替えのために事故車を使用できない間、運行していれば得られただろう利益を損害とします。

タクシーや運送業などの事業用車両(緑ナンバー)である場合、レンタカーを無許可で代替することはできません。

そのため、修理や買い替えのために使用できない間、先ほど述べた損害が発生します。

これに対し、一般的な車両であれば、レンタカーを借りて代替することができるため、休車損害でなく、代車代の問題となります。

赤い本(平成16年)の講演録によると、休車損害の要件については、①事故車を使用する必要性があること、②代車を容易に調達することができないこと、③遊休車が存在しなかったこと、を挙げています。

③について、若干補足します。

まず、③が要件とされる理由は、遊休車があるのであれば、それを用いれば、事故車を運行していれば得られただろう利益を確保できるから、休車損害を認める必要がないという点です。背景には、被害者にも、信義則上、被害の拡大を防止すべき義務があるという考え方があります。

また、遊休車がなかったことの立証責任は、被害者側が負うと考えられています。

したがって、要件の一つとして挙げているように、被害者側は、③についても主張立証するよう注意しましょう。

実際、タクシーの休車損害が争点となった事案について、タクシー会社であるから、代車車両が存在するのが通常と評価されたことに加え、代替車両の存否を含めて休車損害の発生の根拠について主張も立証もないとして、休車損害が否定されています(東京地判平成10年11月25日)。

遊休車が存在しなかったことの立証は、実働率、保有台数と運転者の数、運転手の勤務体制、車検や定期点検の実施中か否か、修理整備中か否かなど、総合的に考慮して主張立証していく必要があります。

これらの①~③の要件を満たす場合、次に休車損害の算定を行うことになります。

休車損害の算定については別の機会にお話ししたいと思います。