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刑事免責制度

ゴールデンウィークに入りました。

岐阜駅の前で出店がたくさん出ていました。

にぎやかでいいですね。

 

今回は,刑事免責制度について,お話します。

刑事訴訟法の改正により,新たに刑事免責制度が導入されました。

施行日は平成30年6月1日です。

刑事免責制度は,刑事訴訟法で保障される証言拒絶権をはく奪して供述させる一方で,その証人自身の刑事事件では,その証言及び証言から派生して得られた証拠の使用を禁止する制度です。

適用される典型的ケースは,組織犯罪といわれています。

上位者の処罰を実現するために下位者を免責して証人尋問での証言を強制するために使用することが考えられています。

もっとも,同時に導入された「司法取引」制度と異なり,適用対象が限定されていない点には注意が必要です。

検察官が,①「当該事項についての証言の重要性,関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮」し,②「必要と認めるとき」に裁判所に請求することができると規定されています(法157条の2,157条の3)。

司法取引のような「取引」ではなく,被疑者・被告人の同意は不要であること,裁判官に刑事免責するか否かの裁量がなく,請求があれば原則として免責しなければならないことに特徴があります。

裁判所が刑事免責をすると,①証人は,刑事訴追を受けたり,有罪判決をうけるおそれがある事項に関する証言であっても強制されることになります。

証言拒絶権がはく奪されるため,証言拒否すれば,証言拒絶罪が成立します。また,その量刑も厳罰化されました。

また,前述したとおり,②義務付けられた供述や,これに基づいて得られた証拠は,その証人の刑事事件において不利益な証拠とすることはできなくなります。

ただし,他の証拠に基づいて訴追されて有罪判決を受ける可能性はあり,完全に罪に問われなくなるというものではありません。

今回の改正で導入された,「刑事免責」と「司法取引」の制度は,私たちの刑事弁護活動に少なくない影響を与えるものといえます。

施行後の運用に注視していきたいですね。

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