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高齢者の家事労働

岐阜でも変異株クラスターが発生しました。

万が一感染した場合の周囲への影響をよく想定し、まだまだ気を抜かずに生活していく必要がありますね。

ところで、最近、休業損害における、高齢者の家事労働について考える機会がありました。

休業損害とは、事故により休業した場合に、本来得られたはずの収入が得られなくなったことを問題とするものです。

家政婦のように、他人に家事労働を行ってもらった場合には金銭的支払いが必要となるから、家事労働は金銭的対価性のあるものといえます。

よって、事故の影響で家事労働ができなくなったりすれば、休業損害を請求することができると考えられています。

1日当たりの収入(収入日額)に休業日数を掛けることで算出するところ、収入日額の算出では、通常、賃金センサスの女性・全年齢・学歴計の平均賃金を参考にすることが多いです。

ただし、高齢者の場合にはこれよりも金額的に低い基準、例えば、年齢別平均賃金などが採用される事案も少なくありません。

確かに、被害者が高齢者の方である場合、次の点からすれば、家事労働の負担は一般世帯よりも小さいとも考えられます。

①子供が独立しており、配偶者との二人生活

②配偶者も退職しており、配偶者もある程度自分の家事をしたり、家事分担をしている

しかし、配偶者との二人生活であっても、家事労働に加えて配偶者の介護も行う必要があったり、また、配偶者が高齢者であっても、就労継続するケースも増加しているのではないでしょうか。

このような場合には、一般世帯と比較して、家事労働の負担が小さいとは必ずしもいえません。

収入日額を考えるにあたっては、被害者の年齢、世帯人数だけでなく、具体的な家事労働の内容及び家事の分担状況なども踏まえ、考えていく必要があるのではないかと思います。