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加重

先月と比べ,大分気温が上がりましたね。岐阜も暑い日が続いています。

車を運転される際は,体調管理にお気をつけください。

ところで,事故と同じ場所を怪我した場合に,後遺障害が認定されるかというご質問をいただくことがあります。

自動車損害賠償保障法施行令2条2項には,既に後遺障害のある者が傷害を受けたことによって,同一部位の後遺障害の程度を加重した場合には,その等級に対応する保険金額から,既存の後遺障害の等級に対応する保険金額を控除した金額とする旨定められています。

したがって,「同一部位」に当たらない場合には,後遺障害の認定可能性はあり,また,同一部位に該当しても,後遺障害の程度が「加重」したといえる場合にも,保険金額について既存等級に対応する保険金額は控除されるものの,後遺障害の認定可能性があります。

ここでいう「加重」は,交通事故によるあらたな傷害によって,現存する障害が等級表上重くなった場合を指すため,同一部位への影響があったとしても,昇級に及ばないものである場合には加重に該当しません。

また,「同一部位」については,同一の系列の範囲内のものを指すと考えられており,系列(身体障害態様の区分であり,労災補償の障害認定基準にて35の系列に分類)を異にすれば,基本的には加重は問題になりません。

ところで,この同一部位に関連してですが,従来,自賠責実務では,中枢神経系の既存障害がある人が,交通事故により末梢神経系の後遺障害を残した場合,「神経系統の機能又は精神の障害」という同一系列にあると扱われてきました。

しかし,東京高裁平成28年1月20日判決は,脊髄損傷により中枢神経系の既存障害がある方が,交通事故により頚部痛や手のしびれといった末梢神経系の後遺障害が残った事案について,「同一部位」とは損害として一体的に評価されるべき身体の類型的な部位をいうとして,「同一部位」には当たらないとしました。従来の自賠責実務と異なる判断であり,注目されています。

このように,交通事故でお怪我をされた場合に後遺障害の認定がされるか否かは,既存障害の有無・内容とも関連し,難しい問題を含みますので,交通事故でお怪我された場合には,まずは交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。