評価損
岐阜にも花粉の時期が来ました。
集中力が削がれるので,早く過ぎ去ってほしいです。
車両を修理すると,車両価値が事故前の価値を下回ることがあります。
これを「格落損」や「評価損」と言います。
価値が下がる要因は,修理後の車両性能等の低下や,事故車両は縁起が悪いとして避けられるなど様々です。
この評価損を加害者に請求した場合に認められるか否かについて,お話したいと思います。
実務では,一定の場合に認める傾向にあるといえます。
具体的には,個別の事案ごとに,①事故車両の車種,②初度登録からの年数,③走行距離及び④損傷の程度などを総合的に考慮して認定されます。
この点,裁判官が執筆した文献によると,上記①から③について,外国産又は国産人気車種であれば,初度登録から5年・走行距離6万キロメートル程度,国産車では3年・走行距離4万キロメートル程度を超えると,評価損が認められにくいとあります(赤本講演録平成14年版)。
また,④については,車両の骨格部分に損傷がある場合に限定する見解と限定しない見解がありますが,実際のところでは,損傷が相当程度大きいことを求められているように思われます。
これらの考慮要素を踏まえ,評価損が肯定されたとしても,次にどの範囲(金額)で認定されるかという問題があります。
事故前の車両時価と修理後の価値との差額とした裁判例もありますが,多くの裁判例は,修理費の10パーセントから30パーセントの範囲で認めているように思われます。
損保会社は,話し合いの段階で,評価損を認めることはほとんどありません。
そのため,評価損を求めるには訴訟で強く求めていくことも考えなければなりません。
評価損でお困りの際には,お早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
- 次の記事へ:点数制度による処分における意見聴取
- 前の記事へ:増額した保険料と損害