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過失割合

1 別冊判例タイムズ38

  交通事故において過失が争点となる場合,まずは別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(以下「判タ」といいます。)・全訂5版」が参考とされることが多いです。

  この判タは,交通事故を集中的に取り扱う東京地裁民事27部の裁判官らが作成・公表したものです。

  改訂を重ねており,最新のものは全訂5版となります。

  裁判所による過失の認定・判断基準を示すことで,大量の交通事故案件の公平・迅速な処理を図られています。

2 事故類型

  判タの目次を見ると,①歩行者と四輪車・単車との事故,②歩行者と自転車との事故,③四輪車同士の事故,④単車と四輪車との事故,⑤自転車と四輪車・単車との事故,⑥高速道路上の事故,⑦駐車場内の事故,と事故類型ごとに分けられています。

  その上で,①の場合であれば,「横断歩行者の事故」,「対向又は同一方向進行歩行者の事故」,「路上横臥者等の事故」「後退車による事故」などさらに細かく類型化されています。

  したがって,実際の事案では,その案件がどの類型に該当するか,またはどの類型に類似するかをよく確認する必要があります。

3 基本割合と修正要素

  該当ページには,その事故類型における当事者の注意義務の内容・程度等から考えられる基本的な割合が記載されています。

  その上で,個別の修正要素,例えば,「夜間」「幹線道路」「著しい過失」などの事情が挙げられ,それらに該当する場合には,基本割合から加算・減算の修正を行います。

  安易に事故類型の図だけから判断することなく,その類型で,なぜそのような基本割合が設定されているかという背景の考えを理解する必要があります。必ずしも判タの事故類型の図そのままの事案ばかりではありません。そのようなときに,背景にある「考え方」を理解すると,その事案で妥当と考える基本割合も見えてきたりします。背景となる考え方は,章の柱書などに記載されています。

  また,修正要素を適用する場合には,当該要素の意味と当てはめをしっかり行う必要があります。

4 柔軟に

  判タは有用ではありますが,事案ごとに事故態様は異なる以上,あくまで目安であるという認識を持つことは重要といえます。

  判タにも同様の趣旨の記載があります(「事案により,その数値を増減して適用する柔軟な態度が望まれる」(判タ全訂5版・43頁)。

  なお,実際の事案では,判タ以外に,道路交通法に関する文献や類似事案の裁判例を調査するなど網羅的に過失の検討を行います。

5 最後に

  過失割合でお悩みの場合には,弁護士にご相談されてみるとよいと思います。