刑事和解制度
刑事事件では,加害者と被害者との間で示談書が作成されることがあります。
一般的な示談書では,加害者が示談書に従って支払をしない場合,示談書は債務名義とならないため,強制執行することはできません。
この場合,あらためて民事訴訟を提起し,判決を得る必要があります。
ただ,加害者が被告人となり,刑事裁判が係属している場合には刑事和解制度を利用することにより,別途民事訴訟を提起する必要はなくなります。
この刑事和解とは,民事上の争いについて刑事訴訟手続のなかで和解をする制度です。
①被告人と被害者等は民事上の争いについて合意が成立した場合,②当該刑事被告事件が係属している裁判所に対し,被告人と被害者等が共同して和解の申立をします。
③当該裁判所においてその内容を公判調書に記載したときに,裁判上の和解と同一の効力を有します(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律13条1項4項)。
①のとおり,申立ては共同でしなければならず,被害者等も出頭しなければなりません。
しかし,弁護士が代理人についていれば,その代理人が出頭すれば足ります。