保釈請求
まだ5月ですが,全国的に暑い日がちらほら見られます。
岐阜も暑く,今年の初アイスを食してしまいました。
本日は,保釈についてお話したいと思います。
保釈は,勾留の執行を停止して,被告人を拘禁状態から解く制度をいいます。
保釈は,被告人についてのみ認められる制度であるため,起訴後に初めて保釈を求めることができます。
そのため,起訴が見込まれるときには,起訴前からあらかじめ保釈請求に向けた準備を行っておくとよいです。
具体的には,本人からは誓約書を,ご家族等からは身元引受書を取り付けたり,保釈の必要性を基礎づける事実関係を本人やご家族等からヒアリングしておくことが考えられます。
保釈を求める場合,通常,保釈請求書を提出します。
提出先は,第1回公判前であれば令状担当裁判官,第1回公判期日後であれば,公判係属部となります。
保釈請求書には,権利保釈の例外事由に該当しないこと,権利保釈が認められない場合でも裁量保釈を認められるべき事案であることを説得的に記載します。
一般的には,この2段構えで記載することが多いのではないかと思います。
保釈請求書を提出すると,裁判官(裁判所)は,手続上,検察官の意見を聴くこととなっています。
そのため,検察官の都合が悪いと,保釈請求に対する判断まで時間がかかり,翌日にずれ込むこともあります。
保釈許可決定がなされると,裁判官(裁判所)が決めた保釈金額を納付します。
保釈保証金は150万~250万円が多いように思われますが,裁判所からの保釈許可決定の連絡が午後3時過ぎにあると,銀行窓口が閉まっており,お金を引き出すことができない!!ということもありますので,注意が必要です。
スムーズに納付するための対策としては,ATMの口座引き出し限度額をあらかじめ増額しておくことが考えられます。
もっとも,増額枠には限度があるため,高額の保釈保証金を指定された場合には対応できず,現金で保管しておくなど別の方法を検討しなければなりません。
保釈保証金を納付すると,通常,その日のうちに釈放されます。
留置場等から出てくる具体的な時間は明らかではありません。
そのため,ご家族等は,留置等されている所に問い合わせいただき,早めに待合室等で待機しておくとよろしいかと思います。
なお,保釈されても完全に自由に過ごしてよいわけではありません。
保釈許可決定と同時に,制限住居等その他の遵守事項が示されますので,しっかりと守らなければなりません。
仮に,指定された条件に違反すると,保釈が取り消されたり,保釈保証金を没収されたりすることがあります。
保釈請求は,公判の準備活動や早期の社会復帰の観点から重要かつ有効な制度であることは間違いありません。
また,保釈支援協会HPのデータによると,ここ10年ほど保釈率に増加傾向が見られます。
犯罪の性質や事案の性格により,保釈請求の通りやすさには大きな差がありますが,身柄釈放によるメリットや最近の傾向に照らせば,臆せずに積極的に活用していきたいものですね。