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調書判決

先日,岐阜の裁判所で,私が担当する刑事事件の判決がありました。

そのつながりで,調書判決の条文関係について書いてみたいと思います。

刑事訴訟規則53条では,「裁判をするときは,裁判書を作らなければならない」とあります。

もっとも,同規則219条1項で,「地方裁判所又は簡易裁判所においては,上訴の申立てがない場合には,裁判所書記官に判決主文並びに罪となるべき事実の要旨及び適用した罰条を判決の宣告をした公判期日の調書の末尾に記載させ,これをもって判決書に代えることができる」とあります。

これが「調書判決」の根拠規定となります。

もっとも,同規則219条1項但書に,「判決宣告の日から14日以内でかつ判決の確定前に判決書の謄本の請求があったときは,この限りでない。」とあるため,上記期間内でかつ確定前に判決書の謄本を請求する場合,調書判決はできません。

ただし,実務では,上訴するかなどを伝えたうえで,判決確定前に謄本交付申請をする方法(事前申請)もあります。

調書判決では,裁判所がいかなる事実を考慮して当該量刑判断したかは書面にあらわれません。

そのため,事案の性質や上訴の意向等に照らし,裁判書によるか,調書判決でよいのか,適切に判断する必要があります。